河口湖のへらぶな釣り

富士五湖の中で、もっとも大型の釣れる湖です。山中湖や西湖などでも大型へらが釣れますが、50cmを超えるサイズになるとなかなかお目にかかれません。

そんな中で、河口湖は年に数枚は必ず50cm以上が釣れていると言われています。かつて、へらぶな釣りの全盛時には河口湖ではナイターも行われていました。現在では、ご承知のようにブラックバスの釣り堀のようになってしまっていますが、それでもシーズンになると毎年多くの野釣り師が、河口湖を目指します。

その年の気候によっても変わりますが、だいたい4月の下旬から6月いっぱいまでがシーズンです。広い湖なので、ポイント選定で釣果が大きく変わってきます。

50cm上を含む大型がそろった日の河口湖のへら。写真のへらは47cmほどだが、尻尾まできれいなへらだった。大型狙いでは、竿も重要。「硬い」ではなく「胴に乗せられる」竿を選ぶと、取り込みしやすい。ただ硬いだけの竿では、魚と戦ってしまい、力をいなすことができません。

河口湖とへらぶな釣り


現在はブラックバスの釣り堀のような河口湖ですが、以前は人気のあるへらぶな釣場でした。夏にはボートによるナイター釣りが行われていた時期もありました。

たしか1970年ごろ河口湖大橋ができる前後のことだったと思いますが、河口湖に17トンという大量のへらぶなが放流されました。

ところが、折り悪くへらぶなの「穴あき病」というのが流行り、放流したへらぶなのほとんどが浮いてしまい、湖岸に真っ白に打ち寄せられるという事件が起きました。

他の釣場では、放流したへらぶながそれほど大量に死んでしまうことはなかったので、当時は河口湖大橋の建設と関係あるのではないかなどと、原因がいろいろと取りざたされました。

尺5寸上の取り込み。玉網は尺3寸以上の大型が安心。また2本物の玉の柄が標準。さらにこの釣り人の玉網の付け根をよくみると、玉の柄と玉枠がビニールテープのようなもので巻かれているのがわかる。ちょっとしたことだが、魚が玉に入ったときにゆるんでクルリと玉編が回ってしまうのを防いでいる。野釣りでは、こういうちょっとしたテクニックも必要になってくる

もちろん、その後もへらぶな釣りは続けられましたが、死んだ魚が腐敗して近隣住民から苦情が出たりしたために、河口湖への放流はその後あまりされなくなったと記憶しています。

へらぶな釣り人の人口の減少とともに、いつのまにか河口湖を訪れる釣り人も少なくなってしまいました。

以前は、河口湖にある船宿のほとんどすべてが「へら鮒」という看板を出していて、100人規模の大きな例会も行われていましたが、現在ではそういったことはなくなりブラックバス釣りの釣り人の姿が目立ちます。

河口湖のポイント

山中湖と並ぶ、大きな河口湖ですが、現在ではボート釣りはほとんど行われていません。陸っぱりが主体です。

狙いは、ワンドと呼ばれる入江のようになっているところが中心です。さらにアシや水草などが生えていれば申し分ありません。

一部では、ワンド以外でも釣れますが、釣れる時期が極端に短いのでなかなか幸運には恵まれません。

水色と足場に注意しながら、よさそうなポイントを探してみてください。まだまだ、あまりへら釣り人のはいったことのないポイントもあります。

ポイントの選定で、もっとも注目したいのが水色です。4-6月の雨の降った後が狙い目です。

【道の駅近く】 道の駅近くです。それほど多くの人は入れません
【マリーナ近く】 マリーナの近くです。遠浅になるので、大型の釣り台を使いなるべく前に出ます

ポイントの見分け方と釣れる時期

その年の気候によっても大きく変わってきますが、だいたい4月下旬から6月いっぱいが河口湖のシーズンです。
とくに見逃せないのが、大雨の後。大雨で湖水が濁り、その濁りにへらぶなが入ってきます。

先ほど、ワンドがポイントといったのは、この濁りがワンドほど、最後まで取れないからです。他の水面は澄んできても、ワンド内だけが濁りが残るという状況になります。こうなればしめたものです。絶好のチャンスといえます。

この時期のヘラブナは、濁りへ突っ込んできます。

【レストラン花みずき前】 広めのワンドです。かなりの遠浅になっています。写真ではわかりずらいですが、対岸のアシが生えているところにも数人の釣り人が入っています
【レストラン花みずき前】 こちらも同じようなワンドですが、見て欲しいのは竿の長さ。浅場であることは写真からもわかりますが、18尺から21尺ぐらいの竿を使っています。野釣りでは、浅場で長竿というのはよくあります。日ごろ、管理釣り場で8尺や9尺ばかり振っていては、こういう釣りはできません

河口湖は広く、ワンドがいくつもあります。あるワンドは澄んでいても、他のワンドでは濁りが残っていることもよくあります。魚のいないところでエサをいくら打っても釣れません。河口湖の釣りでは、釣りの技術以前にこの野釣りに関する知識がものをいいます。じっくりと湖を観察するつもりでポイントを選定してください。

また、過去の経験では濁りがなくてもへらぶなが接岸している場合もあります。河口湖で釣りをしたことのある方ならわかると思いますが、水が澄んでいて浅場なら、打ったエサが白く見えます。こんな時でも、そのエサの上を魚が行ったり来たりして釣れる時もあります。

このあたりになると、「勘」とでもいうのでしょうか。サイトの管理人の場合は「匂い」です。なんとなく「あっ、へらの匂い。いるよ」という感じで魚入ってきているワンドなどを判別しています。

「ハタキ」と呼ばれるヘラブナの産卵行動です。葦や水草、ゴミなどに卵を産みつけます。この時には、パシャパシャバタバタという大きな音が聞こえます。野釣りをする釣り人でないと、なかなかお目にかかれません
写真でハタいてるヘラブナは、ほとんどが40cmを超える巨ベラばかり。「運」が良ければ、3-6月ごろにかけていろいろな野釣り場で見ることができます

仕掛けや釣り方

釣り台は必須です。竿の長さは、場所によっても変わってきますが、13尺以上から21尺あたりまでは持って行ったほうが安心です。

前のところでも書きましたが、浅場長竿の釣りも考えて、短くて浮力のあるウキを用意しておいたほうがいいでしょう。浅場長竿の釣りでは場合によっては、ドボンにしたほうがいいこともあるので、ドボン用のオモリなども準備しておきます。

ハリスは1号以上が標準。ハリも10号以上の大きめが必要です。
エサはマッシュ系のエサがおすすめです。親指の頭ほどに大きめに付けて打ち込みます。魚が寄り、エサ落ちが早くなってきたら、少し手もみをしてネバリを出し、食いアタリを待ちます。

釣り方のポイントは、とにかく焦らないこと。必ずいったんウキをなじませてからのアタリを取ります。管理釣り場の「ゼロなじみ」などという釣りはまったく役にたちません。とにかく焦らずじっくりが基本です。

スレを取ると、魚がいなくなってしまうこともあるので、怪しいアタリには手を出さずしっかりしたアタリを待つのが大型を釣る秘訣です。

【河口湖ホテル前】 河口湖ホテルの前にあるワンドです。こういうポイントは短竿でOKですが、魚が入ってないと一日アタリがないこともあります。濁っているときには、絶好のポイントになります
【山梨宝石博物館前】 来た! 両手で拝み取りをする釣り人。竿を寝かされてしまうと、ハリス切れを起こします。できるだけ竿を立てて、竿の持つ弾力が十分に生かせるようにします。竿を手前に引っ張るというより、穂持ちに魚を乗せるような気持ちで竿を扱います
「釣れない釣れない」と言われる河口湖ですが、2人同時に竿を絞っているのがわかるでしょうか。どちらも40cmをたっぷりと超える大型でした。場所とタイミングに恵まれれば、40cm以上ばかりを数十枚という釣りも夢ではありません。河口湖の魅力は、多くの固定ファンがいることでもわかります
でっぷりと太った大型が河口湖のへら。管理釣り場のへらぶな釣りでは絶対に味わえない魅力があります
50cm超えの巨ベラ。肩の盛り上がりと魚体の厚みが素晴らしい個体です。このクラスになると取り込みも大変

釣行の際には釣り券を

ご存知の方も多いと思いますが、河口湖の遊漁料はやたらに高いです。

高校生以上は、1日券で850円、この金額に「遊漁税」なるものが200円上乗せされ、1,050円となります。

これでも十分高いと思いますが、現場売りでは更に500円がプラスされ、1,550円と釣り堀並みの金額になります。

釣り券は、周辺のコンビニなどで事前購入がおすすめです。それにしても、高額な「遊魚料」や「遊魚税」には、納得できない部分がある人も多いのではないでしょうか。

「遊魚料」や「遊魚税」に関しては、河口湖漁業協同組合 のページで確認してください。

河口湖のヘラブナ 動画風 YouTube

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